「150万円退職金事件」の主犯は政府、幇助は自治体

「退職金上乗せするけど、どう?辞めない?」という退職勧奨ではなくて、
「2月から退職金減額するけど、3月いっぱいまでキチンと仕事してね」ということで、いま大問題になっている。
しかも減額される金額が半端じゃない。
定年退職を目前にして「やめるべきかとどまるべきか」と悩んでいる教員や警察官の顔が浮かぶ。

こんな事態になったのは、昨年11月16日の衆院解散当日、どさくさに紛れて自民・民主・公明で強行採決し、減額を地方公務員にも押し付けたものだ。
もちろん、日本共産党は反対した。

その後、京都府、埼玉県などの府や県議会で、「学期の最後を区切りに退職することが多い教職員の間に大きな矛盾と混乱をもたらす」と警告してきたのだが、現実は予測された通りの事態となっている。

ここにきて、「聖職である教師が、中途退職するのはもってのほかだ」とか、「お金と子供の教育とどっちが大切なんだ」とかの声が聞こえてくるが、
「条例の改正を」というのは少ないようである。

どうもこの頃、国や地方自治体の悪政から起きる事案に対して、問題の本質を糾すのではなくて、国民同士の対立で白黒着けようとしているのではないかと危惧する。しかも、民間企業なら全然問題にならない(問題ではあるが、あまり表に出さない)ことを、公務員だけに限定して煽り立てている。

公の人権侵害を、「辞める人と辞めない人」の問題にしている。

もし、わたしが当事者なら、「退職を前にして、こんなことで悩むとは、変な時代だな」と、辞めるか辞めないか、決めかねているというところです。