たそがれていない紅葉さんの歌集『たそがれ』

過日、刷り上ったばかりの歌集『たそがれ』を細川紅葉さんからいただいた。235首の歌が詠まれている。

紅葉さんが自費出版されたのは今回で第3集となる。

謹呈の添え書きに、あとがきから先に読め、と書いてあるのでそのようにした。

あとがきには、花鳥風詠は嫌いで社会詠、時事詠が好きだと認めてある。また、細川紅葉は本名であるとも。

「戦いを生きて越え来て八十を越えるなどとは思はざりけり」の紅葉さんと出会って35年になる。

昭和47年から配本された講談社の『昭和万葉集』全20巻の第17巻所収の、「植えては抜き抜きては植えし農政の過去を知りいて桑植えるなり」の歌との出会いがわたしと紅葉さんのつながりでもある。

「牛の尾の峠(たわ)の案山子に恋をして又も来て逢う円らな瞳に」 ※ 牛の尾は地名

反戦、平和、政治、農業問題などの社会詠に花を添えるようにふと安らぐ歌があったので、「あの案山子なら見たことがある」と写した。