「島根原発は安全」という意見広告に異議あり!

中国電力株式会社が、去る4月1日に新聞各社に載せた意見広告に対して、日本共産党西部地区委員会は、つぎの申し入れをしています。

中国電力株式会社社長 山下 隆 殿

「安全神話」に立った4月1日付貴社意見広告に強<抗議し、島根原子力発電所の地震・津波対策など安全対策の総点検、3号機増設とプルサーマル計画の中止を強く求める申し入れ

日本共産党鳥取県西部地区委員会

                                 委 員 長 福住英行

                                 県議会議員 錦織陽子

東日本大震災から20日余が経過しました。巨大地震と津波による甚大な被害のうえに福島第一原発事故の被害がくわわり、その被害は「国難」ともいうべき戦後未曽有の規模に達しています。

大量の放射能がもれだす重大事故をひきおこした福島第一原子力発電所にたいして、「原発はこのままでいいのか」「これからのエネルギー政策はどうしたらいいのか」という不安が、いま国民のなかに大きくひろがっています。鳥取県西部は島根原発から30キロ圏内にあるだけに、「他人ごとではない」「南相馬市のようになるのではないか」といった声もあがっています。

こうしたなかで、4月1日の新聞各紙に掲載された貴社の「意見広告」は、あまりに国民の思いとかけはなれており、唖然とするばかりです。私達のもとにも、「無神経」「なにを根拠に安全といえるのか」など怒りの声が多数よせられています。

3月26日・27日実施の共同通信の世論調査でも、「原発の今後」について、「増設」という回答はわずか6.5%であり、「現状維持」40.0%、「減らしていく」39.5%、「ただちに廃止」7.2%と圧倒的な声は、原発に危惧を表明し、8割は新増設に反対です。それなのに、貴社「意見広告」は「福島第一原子力発電所が津波で被災した状況を踏まえ」「安全性を向上させる対策を進め」と「原発推進」を表明し、「3号機につきましても」などと新増設強行の姿勢さえ示しています。多くの国民が原発に強い危惧と不安を表明しているなかでの「原発推進宣言」ともいえる今回の貴社の「広告」に強く抗議します。

福島原発事故は、「想定」をこえた自然災害による防ぎきれなかった事故ではありません「チリ地震クラスの津波がくれば、冷却設備がこわれて重大事故になる危険がある」とくりかえし警告したのに、東京電力は、「安全性に問題はない」と改善をこばみつづけてきました。その結果おきた「人災」です。

なんの根拠もない「安全神話」から、いまこそきっぱりぬけだすべきです。ところが、貴社の「意見広告」では「日本海の秋田県沖で発生が想定される最大級の地震を考慮して津波の影響を評価し」「津波の高さは最大5.7メートルと想定」などと、過去のある特定の数字だけをしめして、それをもとに万全の策をとったから「ご安心を」というものです。 しかし、福島第一原発をおそった津波は、想定した約5.5メートルをはるかにこえる14メートルもの高さでした。福島第一原発の被災をふまえてなどといいながら、まったく、その教訓も反省も生かされているとは思えず、国民の生命・財産を守る姿勢も感じられません。

地震学が専門の西田良平鳥取大学名誉教授は、県内での地震の可能性について、「東海、東南海、南海地震でも、同時に発生すれば今回に匹敵する巨大地震になることも考えられる」(3月22日の朝日新聞)と話しています。また、島根原発周辺にはマグニチュード7以上の地震をひきおこす22キロもの「宍道活断層」の存在も確認されています。

そもそも、原発の「安全性」を決めるのは電力会社ではありません。政府の独立した規制機関がおこなうべきであり、原発を規制する機関と推進する機関のあり方も今回の原発事故の問題点となりました。

3月31日、日本共産党の志位和夫委員長は、菅首相にたいして「エネルギー基本計画」で2030年までに14基以上の原発を新増設することについて「到底、国民の理解は得られるものではない。きっぱり中止すべきだ」と求めました。これにたいして、首相は「いまある原発の総点検ももちろん必要だが、今後の原子力利用について根本的に安全性の議論が必要だ」と答え、原発新増設の計画については、「白紙というか見直しもふくめて検討したい」と答えました。そして、そのことを新聞・テレビが一斉に報じ、内外に衝撃と波紋を広げています。さらに、「日本も批准している原子力安全条約に則して原子力の推進部門と規制部門を分離し、強力な権限をもった規制機関を確立すべきだ」との提起にたいし、首相は「重大な反省が必要だ。指摘を受け止めて(体制の)あり方の検討が必要だ」とも答えています。

米子市議会は、大震災が発生したなかでの3月議会でプルサーマル計画の中止を求める意見書を全会一致で採択しています。

今回の大震災をうけ、国際基準はもちろん、福島事故の教訓をふまえた新しい基準がもとめられようとしている、まさにそのときにこのような「広告」を出す、貴社の経営体質に、昨年の511件もの点検もれや発電所やダムのデータ改ざんなどこれまでの不祥事ともかさなって重大な危惧を抱かざるをえません。

以上の立場から、島根原子力発電所について以下申し入れし、文書で回答するよう求めます。

1. 「意見広告」の津波と敷地の高さに関わる部分は、今回の事故で想定をはるかにこえる津波が

おこったこととの関係をどのように検討した結果なのか、その内容と根拠をしめすこと。

2. 福島原発の避難地域が半径30キロ以内になったことをふまえ、鳥取県・米子市・境港市が求めている原子力安全協定の締結をすること。

3. 島根原発1号機、2号機は今回の事故をふまえた総点検を直ちに実施し、その結果を公表すること。1号機はそれまで運転を再開せず、2号機は問題が発覚すれば運転を中止すること。そして、地震・津波対策など安全対策など抜本的見直しをおこなうこと。

4. 2011年12月に運転開始を予定している3号機の建設は中止すること。

5. ウラン燃料と比較にならないくらい放射能や毒性が強い、プルトニウムを使用し、いったん事故が起こればとりかえしがつかないプルサーマル計画は中止すること。

                                          以上

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